AGVって何?AMR?GTP?違いは??

AGV 無人搬送車 種類

皆さんこんにちは、株式会社ITAGEの田辺です。
今回は弊社がやり取りさせていたただくお客様に関わりの深い「AGV」に関してまとめます。

AGVは、人の代わりに自動でモノを運んでくれる車両やロボットです。

国内外様々な研究機関が今後の市場規模の増加を予想しているみたいです。
各AGVメーカー様もSDGsの実現手段としてプロモーションするなど時代の寵児感が凄いです。
最近の身近な例ですと、2021年3月に開催された「国際物流総合展2021」の来場者アンケートがあります。
「展示物で最も関心があったもの何か?(複数回答可)」という質問に対し「無人搬送車」が32.7%と最も多かったようです。
(以下自動倉庫(27.8%)、ピッキングカート(24.0%)、仕分け機器(22.6%)…と続きます。(同展示会主催者作成の結果報告書より))

※因みに弊社も出展しました。出展内容はこちら!

AGVとは
運び方
載せ方
走り方
AMR?GTP?RGV?IGV?
AGVの課題
シミュレーターの活用

AGVとは

AGV(Automatic Guided Vehicle)とはその名の通り「無人搬送車」のことです。 JIS(日本工業規格)による規定もあります。

一定の領域において,自動で走行し,荷など人以外の物品の搬送を行う機能をもつ車両で,道路交通法に定められた道路では使用しないもの。

JIS D6801 0101

とってもシンプルでAGVは人の代わりに自動でモノを運んでくれる車両やロボットです。

工場や倉庫で必ず発生する「搬送」という業務を自動化できる、用途や環境に合わせた導入が可能という利点から市場は拡大し続けています。

とってもシンプル故に様々な区分があります。ざっとまとめてみました。

AGV 種類 一覧

多ッ…!

…少しずつ見ていきましょう。
運ぶモノ(以下「ワーク」)の「運び方」と「載せ方」と「走り方」でタイプ分けできます。

運び方

その名の通りワークの運び方です。

積載型
AGV 積載型

積載型はその名の通り上にワークを乗せて運ぶロボットです。
歴史の教科書に載っている頭に野菜などをのせて運ぶ人を思い浮かべたのは私だけではない筈…

けん引型
AGV けん引型

これもそのまま引っ張って運ぶものですね。引っ張る以上その場での旋回が出来ないというデメリットが生じる場合もあるそうですが、最近のAGVは高性能なのでそれも解消されているとか…

フォークリフト型
AGV フォークリフト型

読んで字のごとくですね。AGVではなくAGF(Automatic Guided Forklift)と呼ばれることもあります。

載せ方

これも単純な話で、ワークを移載する方法で分類します。

自動移載式

人手でない手段でワークを移載します。パレタイズロボットや無動力のラックなどから受け取ったり、積載型の場合、棚ごと運んだりします。

人手移載式

人の手でワークを移載します。説明不要ですねこれは。

走り方

これは様々ありAGVが進化していくにつれ多様化したといえます。

線に沿って走る(経路誘導式)
AGV 経路誘導式 有軌道

もっとも古くからあるタイプです。
あらかじめ引かれた線にそって移動します、電車みたいなイメージです。

その線の検出の仕方も磁気テープを使うもの(磁気誘導式)、テープを光学センサーで検知するもの(光学誘導式)、カメラでマーカーを認識するもの(画像誘導式)等、様々です。

自分で考えて走る(自律移動式)
AGV 自律移動式 無軌道

これが最近台頭しているタイプです。
AGV自身が自分の位置や周囲の環境を把握し、それらを統率するコントローラが目標座標を指定し動くことが出来ます。導線や誘導体や人の操縦などがなくても目的地へ移動することができます。
要はル〇バのようなお掃除ロボットとおなじですね。

こちらも自己位置推定の為に使う技術が様々あります。レーザーを照射し壁に置いた反射板までの距離で把握するもの(レーザー測距式)、カメラで壁までの距離を測定し周囲の環境地図を作成しつつ位置を把握するもの(画像SLAM式)などです。

何かについていく(追従式)
AGV 追従式 無軌道

自律移動式の応用で作業者などの後についていくタイプです。カルガモの赤ちゃんみたいね、と思ったのは私だけだはない筈…

倉庫のピッキングなどでピックは人が行い搬送兼カート役として活用できます。いわゆる協働ロボットですね。

AMR?GTP?RGV?IGV?

AGV自体は実は昔からある技術です。
無人搬送車の定義が記載されたJIS D 6801が制定されたのは1990年であり、正確な年数が分からないのですが80年代にはその技術はある程度確立されていたようです。
その当時は磁気誘導式が主流でしたがQRコードなどを使った画像誘導式、レーザーの反射を活用し自律走行するレーザー測距式、カメラで環境地図を作成し自律走行する画像SLAM式といったようにだんだんと進化していきました。その進化の過程でAGVを形容する言葉も増えていきました。それがここの見出しにもなっているAMRやGTPです。

AMR

AMRは自律型移動ロボットを意味します。Autonomous Mobile Robotの略であり、自律走行が可能なAGVのことを指す言葉です。高度化する無人搬送車に対して新たに生み出された言葉です。
AGV(Automatic Guided Vehicle)を直訳すると自動追尾型車両なのでまさしくだなと思うのですが、AGV=無人搬送車と訳されるように、その実自律走行式もAGVと呼んでも特に問題ないようです。

GTP

GTPは物流センターなどに用いられる自律移動式AGVの一種で商品の棚ごと運ぶことができます。Goods to Personの略です。物流の棚入れやピッキングの効率化が期待できるAGVです。

AGV GTP 物流センター

RGV・IGV

上記に比べると若干見る機会は減る気もしますが、有軌道AGVをRGV(Rail Guided Vehicle)、自律走行が出来るものをIGV(Intelligent Guided Vehicle)と形容することもあります。なんでもアルファベット三文字にすればいいってもんじゃないと思うよ

AGVの課題

このようにAGVは多種多様な手法で「搬送」という必須業務を効率化するとても便利な製品です。

ですが、課題もあります。

経路誘導式の課題

あらかじめ決められたルートしか動けないのでレイアウトの検討や変更はかなり手間がかかります。また通路として利用するテープが剥がれたり汚れていたりすると搬送が出来なくなるという問題もあります。

自律移動式の課題

経路誘導式の問題点を全てカバーできるので大変優秀ですしやはり取り上げられる「AGV」もこのタイプが多いのですが、レーザーが何かに阻まれたり光源の問題でマップ形成が難しかったり他の移動するもの(作業員や他社AGVなど)は予測できなかったりすることもあるようです。

AGV デッドロック

といったように大変便利なAGVですがとりわけレイアウトの検討には課題があります。
勿論そんなにお安い商品ではありませんから、最初の要件詰めがとても重要になってくるのです。

シミュレーターの活用

上述のようなレイアウトの検討にはシミュレーターの活用がおすすめです。
弊社が販売するEmulate3Dを用いれば

AGV導入時の導入台数や人運用との能力値の差異の検証

構内レイアウト変更時の成立性検証

AGVコントローラとの連携(実機制御でソフト内のAGVを動かします)

などなど様々な場面でご活用いただけます。

因みに今回の画像は全て「Emulate3D」で作成しております。どうもこういった工業製品はプロモーションに困るのですが3Dレイアウトのソフトがあると便利ですね(自画自賛)

AGVに関するソリューションをまとめたチラシを作成しました。
よければ是非ダウンロードしてご覧ください。

AGV シミュレーション 最適化

その他お問い合わせやEmulate3Dについての詳細は以下からご覧ください。