クレーンゲームで知る物理エンジンシミュレーション(操作編)
みなさんこんにちは、株式会社ITAGEの田辺です。
今回は身近な例を用いて物理エンジンを用いたシミュレーションをご紹介します。
最終的にはこんな感じ。みんな大好きクレーンゲームです。
「アームの力弱ええええええよおおおおおおおおお!!!!!」
というおなじみのあの気持ちも体験できますし、
「反動で落ちたああああああああああああああああ!!!!!」
というあの悲劇も味わえます。
何をしているんでしょうね弊社は。
予めお伝えしておくとこれは弊社取り扱い製品「Emulate3D」で作成されたものです。
Emulate3Dは工場や物流センター向けの3Dシミュレーターです。
Emulate3Dには物理エンジンが搭載されておりこのような挙動を再現できます。
折角ですからクレーンゲーム操作編と作成編に分けでご紹介しようと思います。
今回は操作編です。物理エンジンの概要と実際の挙動をここではご紹介していきます。
物理エンジンとは
物理エンジンとは、衝撃、摩擦、空気抵抗を考慮し、物体の振る舞いのシミュレーションを行うことができるソフトウェアのことです。
再現することの難しさ
日常生活において何気ない動作もパソコン上で再現しようと思うとそれはそれは大変なことです。
そういった挙動を計算してくる物理エンジンは
身近なところでいけばゲームにおけるリアリティの向上に
ビジネスであれば設備の設計・テストなどにおいて非常に有用です。
物理エンジンに関する詳しい説明はこちらも併せてご確認下さい。
こんなところに!?物理エンジン
こんなところに!?物理エンジン2物理シミュレーションの種類をご紹介します
剛体の物理シミュレーション
物体(個体)の動きを物理エンジンで再現する場合、
対象の物体には「剛体」という特性が付与されます。
剛体とは「如何なる外力に対しても形状を変化させない物質」です。
例えば図のように非常に柔らかい物体(豆腐)にそれより硬い物体(ボール)をぶつけたとします。
実際であればおとうふは見るも無残な形になってしまいます。
ノーモア、フードロス。
ですが剛体で再現された物理シミュレーションではそういった破砕は再現されません。
これは最初に出てきた再現の難しさによるものです。
細かく再現するためには物体の強度(結合度)を考慮し衝撃を受けた場所からの力の伝播を計算する、その分解能は究極的には素粒子の世界になります。
そこには莫大な計算量を要します。更に規模を広げればその複雑性は指数関数的に増大します。
シミュレーター活用のコツ
ですから物理現象を完全に再現することはほとんど不可能であり、無意味です。
今回の豆腐であれば実際にやればいいと思います。安いし。
誤解無いようにお伝えしておくと剛体以外の机上での再現・検証が不可能ということではありません。
物理エンジンには精緻なシミュレーションを目的とせずゲームや映画の表現としてガラスの割れる事象や液体を補完する機能がありますし、シミュレーションでも流体や気体に特化して再現する術があります。
つまりは目的や規模に合わせて用いる技術を変化させることが重要です。
こういった再現の目的を定めることはあらゆるシミュレーションという行為において非常に肝要な視点です。
「シミュレーションとは何か?」という疑問を解消するハンドブックもご用意しております。ご興味のある方はぜひご覧ください。
物理エンジンの効果
とはいえ、今までの動画像を見ていただいてお分かりいただけているかと思いますが、剛体の物理シミュレーションでもかなりリアルな挙動の再現が出来ます。
剛体の物理シミュレーションの主な要因は、摩擦・重力・質量・力などです。
それらの要素が様々詰まったクレーンゲームは好例といえます。
3Dデータの形状に合わせて物理判定を生成します。
プライズにも同じように物理判定を加え更に質量を加えます。
アームには力の大きさを定義します。
素材の摩擦係数を指定することも可能です。
物理エンジンが搭載されていればこういった諸条件を入力していくだけで物理現象の確認が実施できます。
その結果、手軽に物理現象を机上で確認できるというわけです。
お試しあれ
折角なので3Dモデルを配布します。
Emulate3Dでは「.raw3d」ファイルという専用拡張子でビューイング用3Dモデルを出力できます。
操作もできたらいいのですがそれには別途ソフトウェアが必要です。ご了承ください。
クレーンゲーム.raw3d(弊社利用のウェブサービスへ遷移します)
※確認いただくためには専用のビューアが必要です。以下より各OS向けのアプリケーションをインストールできます。
Windows版(Micirosoft Store)
Andoroid版(Google Play)
iOS版(App Store)
さいごに
操作編はここまでとさせていただきます。
実際の工場・物流センターにおいて物理シミュレーションは
マテハン機器のプッシャーの速度・角度や滞留
加工ロボットの接触検知
などに活用されています。
少しでもご興味・ご関心があればぜひraw3dファイルをご確認ください。
詳しく知りたいという方はぜひ資料ダウンロードやお問い合わせお願いします。
次回は作成編としてより細かいモデリング部分をご紹介していきます。
ソフトにもご関心がある方はぜひ次回もお楽しみに!