「物流」の歴史

物流 歴史

こんにちは、株式会社ITAGEの田辺です。

今回は「物流」の歴史についてまとめていきます。

物流という言葉の歴史は意外と浅く、また日本独自の変化を遂げています。
その流れを時系列で並べ背景を加味し起きた変化を考えていこうと思います。

似たテーマを扱った記事もございますので、お時間がございましたら併せてご確認ください。
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「物流」誕生

「物流」という言葉は「物的流通」(Physical Distribution)の略語です。
戦後、当時最先端だった米国のモノの流れを参考にしたのが起源です。
その為、直訳した言葉の略語が今日浸透しています。

世に浸透し始めたのは1964年、経済審議会「中期経済計画」の中で取り上げられてからといわれています。
1970年代には既に一般的になっていたようで、当時発足した物流業界の団体名、
「日本物的流通協会(1970年10月発足)」や
「日本物流管理協議会(1970年11月発足)」
などから伺い知ることが出来ます。

物流 年表 高度経済成長期

この当時の物流の意味は

モノの供給者から需要者への実物的な流れ。
具体的には包装、荷役、輸送、保管および通信の諸活動。

でした。

60年代というとちょうど高度経済成長期ごろです。
日本は大量生産・大量消費の時代に突入し、東京オリンピック(1回目)の決定もあり、国内の交通網や拠点など物流の動脈は急速に発達していきました。

その前は?

「物流」という概念が浸透していなかったころ、言い換えるとモノを運ぶことの重要性が今ほど認知されていなかった時代は意外と最近まで存在していたんですね。

遥か昔から交易などを通しモノを運ぶ文化はありましたが、 生産地から消費地へのモノの流れが、ある程度確立されていたのが江戸時代です 。
ただ当時は道が舗装されていないため海運がメインだったようです。

そんな状況は戦後も変わらず、そこに戦禍も加わり陸路は現在では想像もつかないほど荒れていました。
悪路での運送はスピードが出せず、商品が破損しやすいので梱包も高額になり、効率面でもコスト面でも課題が山積みでした。

物流 戦前 日本 米国

日本はこうした状況を打開するために、当時最先端の技術を持っていた米国を参考にします。これが日本の「物流」に繋がっていくのです。

JISの規定と2度の改定

物流 年表 バブル経済 崩壊後

「物流」という表現が浸透し20余年、1985年にJISで「物流」が規定されました。
(物流用語 Z0111)
この規定は1999年と2006年に改訂されており「物流」の意義の変化が見て取れます。

1985年

物資を供給者から需要者へ物理的に移動する過程の活動をいい,一般的には輸送,保管,荷役,包装など及びそれらに伴う情報の諸活動からなる

1999年

物資を供給者から需要者へ,時間的,空間的に移動する過程の活動。一般的には,包装,輸送,保管,荷役,流通加工及びそれらに関連する情報の諸機能を総合的に管理する活動。 調達物流,生産物流,販売物流,回収物流など,対象領域を特定して呼ぶこともある。

※ 2006年の改定は1999年と大きな変更はなく、現行のものです。

85年と99年では形容する範囲が異なっていることがわかります。
85年は輸送、保管など諸活動そのものを指していたのに対し、99年以降はそれらを諸機能とし、それらを総合的に管理する活動としています。
さらに後半には「物流の種類を特定する場合もある」という注釈が加わりました。
そして、諸機能には新たに「流通加工」が加わっています。

このように「物流」が指し示す範囲は明らかに拡大しており、 現在の日本の「物流」はかつて参考にした米国の「物的流通」とは大きく異なっています。

また、1995~1999年というとバブル経済期~バブル崩壊後にあたります。
かつての大量消費・大量生産は息をひそめ、多品種少量生産への移行、ネット販売など新たな販売形態が生まれたことなど、物流の重要性が高まっていったことを背景に「物流」という言葉の意味もまた変化していったのです。

派生

物流が意味するものは時代とともに変容し様々な新しい概念に派生していきました。
例えば1980年ごろから使われ始めた「ロジスティクス」、
90年代、バブル崩壊の影響を受けピックアップされた「SCM(サプライチェーンマネジメント)」などです。
どちらも昨今でも頻繁に耳にするモノの流れに関する言葉です。
また機会があればこれらの言葉についてもまとめていけたらと思います。

まとめ

物流は1950年代にその価値を見出されて以来、半世紀以上にわたって重要視され続け、その価値はますます高まっています。

とりわけ昨今は
新型コロナウィルスによる非接触・非対面の遠隔地支援やECサイトを介した需要の大幅な増大、
来る2035年問題による従業員確保の更なる逆風・自動化の必要性、
SDGsによるモーダルシフト・カーボンニュートラルのような環境への配慮やホワイト物流・グリーン物流をはじめとした労働環境の見直し、
など新たな未曾有の問題に直面しています。

株式会社ITAGEではそういった課題に対しての一助をご提案させていただいております。
まとめたページもございますのでよろしければご覧ください。

物流 倉庫 3PL スマート化